『
Seasar入門 ~はじめてのDI&AOP~』
編集者の制作秘話
はじめて監修をしていただいたひがやすをさんに初めてお会いしたのが2004年5月で、そのときは数人でワインを飲んでいました(ひがさんはソムリエの資格を持つワイン通で有名)。Seasarという新しいアプリケーションサーバを作っているとお聞きし、いずれ書籍化しましょうと話していました。そこでひがさんから言われたのは、「そんな本出して、売れるんですかね」の一言でした(いま思えばこの発言はひがさんの欲のなさと謙虚さの表れだとつくづく感じます)。
その後ひがさんと何度かお会いしたりワインを飲んだりする機会があったのですが、初対面から2年もしないでSeasarはAOP機能を備えたDIコンテナとして進化し、Seasarファウンデーションという組織にまで発展しました。
「そんな本出して、売れるんですかね」という言葉が嘘のように、状況は瞬く間に変化しました。雑誌やWebでSeasarが語られる機会が格段と増えてきました。書籍を発刊するタイミングが訪れ、『Seasar入門』を書いていただきたたいとすぐさまメールで依頼しました。
ひがさんはSeasarの開発者から須賀さんと木村さんを紹介してくれ、電通国際情報サービス側からは、高安さんと西川さんを紹介いただき、そして西川さんから白井さん、椎野さん、岡さん、藤村さんを紹介していただきと、徐々に執筆陣が固まっていきました。
書籍の執筆でその人数が増えれば増えるほど、制作に時間がかかったり、トラブルが増えたりと、諸々の問題が発生するのが制作側の定説ですが、今回はそのようなことは皆無でした。企画の作成から執筆完了までをほとんどオンラインで行ったのですが、トラブルはおろか、各人の知識や個性を発揮して、いつしか強いチームワークまででき、執筆陣は読者に語りかけ、具体例を多用し、理解を促し、原稿をすばらしいコンテンツにまで育て上げていきました。
編集者が言うのもなんですが、この本は名著です。DIコンテナのバイブルとして人々に愛され続けることでしょう。
このような状況はオンラインを使ったソフトウェア開発の世界では当たり前なのかも知れませんが、書籍の制作側から見て奇跡的な現象だと感じました。また同時に、Seasarの考えがオンラインを通して暗黙(規制とか定理に縛られないような)に浸透しているような、オープンソースソフトウェアとして非常に好ましい形(ポジティブな空気?)をなしているのだとも感じました。
奇跡のチームワークでできあがった1冊は、カバーにも凝りました。Seasarとは沖縄の狛犬です。そこで、沖縄コンセプトということで、ブルーと白を基調に、さわやかなデザインでまとめました。ブルーは海、白は雲です。思いつきで作られているようなIT系書籍のカバーデザインですが、実はこうしてコンセプト作成から計算し、試行錯誤を繰り返した結果です。
一人でも多くの読者の手に取られ、長く愛していただきたいです。
S2本の紹介に戻る
© Copyright The Seasar Foundation and the others 2004-2005, all rights reserved.